Don't give up, I tell you
ドイツといえば、すっかりシオニスト国家というイメージになってしまいました。言論弾圧!
ナチスから学んだことは所詮表面的でしかなく―ほとんどレイシズム以上のものではないようで、
とにかくIS,USに次いで印象が悪い。
ところで、他方、スラッシュ・メタル大国といった印象もありますが、そもそもカウンター的なこの手のカルチャーが強い、ということがその国(政府)自体への好感に繋がる、ということもないでしょう。
こういったわけで、個人的評価におけるジャーマン・スラッシュ・メタルの名作をふたつ紹介させて頂きたい...
Entophyte - "End of Society's Sanity" (1992)

超現実主義に属すると思われるカバー・アートが印象的です。いわゆるプログレッシブ・スラッシュの部類で、憂愁を帯びたボーカルと、それに比しては不気味にすら思えるリフとの交錯に二律背反的な印象を覚える。
Entophyteとは、他の生物の内部に寄生して育つ植物の事を言うらしい。
2019年に中国のAwakening Recordsから再発盤が出ていて、ブックレットに歌詞の記載があります。当記事の見出しは3曲目Random Victims (Potential killers)の最後の一節より。
1曲目- End of Society's Sanity :"正気"の終焉、社会/世界の欺瞞と、自らがまさしくその内にあることの認識。
社会の理性などずっと疑わしいもので、いつそれに気付くかは人によるわけですから、普遍的に共感を得るテーマでしょうが、
現代にあってはその機会も増えてるんじゃないでしょうか。別の狂気に陥ることも多いにせよ…
4曲目- Human Machine World :変拍子を伴う機械的人間の表象。人間性を損なった社会の凋落、
これも当時から、その度合いを増して進行しているその真っ只中という感じがしますね。無感覚。
5曲目- The War of Khyr :全6部からなる組曲形式で、歌詞は異世界に召喚された英雄の叙事詩的な物語といった風情です。
他の曲の詞は社会的、あるいは精神的な内容なので、これだけわりと異様です。何か出典があるのだろうか?
The Art of the Legendary Tishvaisings - "Catharsis" (1991)

こちらも鮮烈なアートワーク(とバンド名)ですが、
―こういった表象自体を論うことがルッキズム的思考形態に接続しかねないのでは、との懸念はあるにもせよ―
この闇の中浮かび上がる苦悶に満ちた表情と姿態、それはある種鬼気迫る感覚を喚起し、
緩急つけ時に抒情的なフレーズによって、神経衰弱の奥地へと有無を言わさず突き進むが如き緊張感。
アルバム通しての展開が絶妙です。
3曲目- Katharsis :早くもカタルシスの到来。サンプリングボイスも使ったアルバム随一の楽しげな曲です。
6曲目- Total Sellout :アルバム中最もメロディが際立っているように思われる。
7曲目- Outburst :アルバム冒頭のイントロと共通のフレーズに始まる、悲壮感の籠ったボーカルが印象的な終着。
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ここに挙げた二作品は、どちらもBandcampで試聴/購入ができますので、是非御一聴下さい。
もちろん、ドイツにはこの他Rage、Protectorといった名バンドが多数存在しますから、聴き漁ってみるのも一興でしょう。
隠れた名作/現行の良バンド/当記事の内容に関する補足などありましたらご提供下さい…
25.6.12 (thu)